支払いや返済が遅延している方に支払い手続きを促すための「督促架電」は、伝え方によっては相手を不快にさせてしまい、支払いがさらに遅延する可能性もあります。この記事では、督促架電をスムーズに進めるコツや話し方のポイントについて解説します。
督促架電は伝え方次第で結果が変わる
顧客や取引先が代金の支払いやローンの返済などを滞納・延滞している場合、督促や通知を行わなければならないケースがあります。支払いにつなげるために必要な督促架電ですが、非常にデリケートな業務であるといえます。
電話での伝え方によっては、相手を怒らせて罵声を発せられるケースや、無視されてしまい支払いがさらに遅延するといったケースもあります。そのため、督促架電は伝え方がとても重要であり、伝え方次第で結果が変わるといっても過言ではありません。
督促架電を行いスムーズに支払い手続きを進めるコツを4つ紹介します。
督促架電は、遅延が発生した直後からできる限り早急に行うのがコツです。早いタイミングで督促架電することで、自社が「期日」に対していかに重要に捉えているかを示すことが可能です。
督促架電を遠慮していては、相手の支払いの優先順位が下がり早期の解決が難しくなります。スムーズに支払い処理を進めるためにも、しっかりと請求する姿勢を示すことが大切です。
支払いがされていない理由をまず確認しましょう。原因が「請求書が送付されていない」、「請求書の宛名が間違っている」、「請求内容に誤りがある」というように、自社側の不手際による場合もあります。そのため、督促架電をする前に自社にミスがないかまず確認することが大切です。
また、支払いの意思があってもさまざまな事情で支払いが遅延していることもあります。相手がどのような事情で支払いができていないかを確認したうえで、配慮しながら支払いを促すことがコツです。
督促架電する相手先の情報を、あらかじめ把握しておくことも必要です。これまでの支払い状況をチェックして今回が初めての遅延なのか、それとも遅延の履歴があるのか、またクレーマーではないかといった相手の特徴を理解しておきます。相手を知ることで、トラブルを避けてスムーズに支払い処理を進めやすくなります。
相手の事情に合わせて、支払いやすい方法を提案することがコツです。就業しているかどうかを確認し、就業している場合は給与日、就業していない場合は年金や手当の支給について聞き取りを行います。
自営業の方であれば、入金の時期や形態などを確認します。そのうえで給料日の翌日まで支払い期日を延ばしたり、自営業で大きな額をまとめて支払うのが難しい場合は月2回に分けて支払い期日を設けたりするなど、相手が支払いやすいように配慮することで支払い率は向上します。
督促架電は相手の心理的ハードルを下げて、支払いにつながるような思考を持ってもらえる話し方が大切です。
相手に失礼がないように、丁寧な口調と対応を心がけましょう。相手を不快な思いをさせたり怒らせたりしては、支払いがさらに遅延する可能性もあります。相手によい印象を持ってもらうため、事務的なやりとりにならないように明るい声のトーンを意識します。
また、いきなり要件を伝えずにこちらの不手際の可能性もあることを説明することも大切です。質問をしながら、会話のキャッチボールができるような話し方をするのがポイントです。
相手にお願いする文言の前に、クッション言葉を使うことがポイントです。「たびたびのご連絡となり大変恐縮ですが、○○」、「ご多用中とは存じますが、○○」というように、会話にクッション言葉をはさむことで角を立てずに相手へ内容を伝えられます。
督促架電では、以下の2点に注意が必要です。賃金業法という法律により取り立て行為が規制されており、以下の内容は法令違反に該当する可能性があります。
督促架電を行ってよいとされる時間帯は、朝の8時〜夜の21時までです。これは賃金業法によって督促架電をしてもよいと定められている時間で、これ以外の時間帯は避ける必要があります。電話だけでなく、メールやFAXなどそのほかの通信手段も同じです。
督促架電の業務に違法性はありませんが、入金を強要するような過度な取り立ては違法です。たとえば、暴言を発したり勤務先に督促架電したりする行為などが該当します。 ここまでの行為を行わなくても、「早くお支払いいただけないでしょうか」、「○○までに必ず支払いをお願いします」という直接的な文言も、相手は責められていると感じる可能性があるため避けたほうがよいでしょう。
督促架電は相手の事情への配慮を欠かさず、スムーズに支払い処理を進められるような提案や丁寧な話し方が大切です。伝え方によって結果が変わる可能性が大きいため、今回紹介した督促架電のコツや話し方のポイントを意識しましょう。