掘り起こし営業は、休眠状態になっている顧客に対してアプローチを行う営業手法です。新規開拓には力を入れていても、掘り起こし営業までしっかりと行っていないという企業もあるのではないでしょうか。この記事では掘り起こし営業の重要性や、具体的な方法について解説します。
営業活動は大きく「新規開拓」と「掘り起こし」の2つに分類されます。その中でも「掘り起こし営業」とは、過去に取引していたが現在は休眠状態となった「休眠顧客」や、アプローチの段階で顧客獲得に至らなかった「見込み客」を対象に行う営業活動のことです。
近年、掘り起こし営業を重視し、強化を進める企業が増えています。その背景には、効率的に売上を向上させられる点が挙げられます。掘り起こし営業は新規顧客の獲得に比べて、コストを抑えながらアプローチが可能です。
新規顧客の獲得には、既存顧客を維持する際の約5倍のコストがかかると言われています。一方で、掘り起こし営業では、休眠顧客や見込み客の連絡先などを既に保有しているため、新たな情報収集や広告費用を削減可能です。このように手間とコストを抑えながら、収益性を高める営業手法として注目されています。
顧客が休眠状態となる理由を、「営業側」と「顧客側」の視点から整理してみましょう。
商談や顧客獲得に至らなかったケース 顧客が資料請求や問い合わせを行ったものの、その後のフォローが十分に行われず、休眠状態になるケースがあります。
会社の方針転換や営業リソースの不足 既存顧客への定期的なフォローが行われていても、別製品への注力や人手不足により対応が滞り、結果的に顧客が休眠化する場合があります。
検討期間中に熱量が低下 BtoBの取引や高額商品では、検討期間が長期化するケースが少なくありません。その間に、別の課題が発生したり、優先順位が変わることで休眠状態になることがあります。
社内や生活環境の変化 顧客の状況やニーズが変化し、商品やサービスが適合しなくなることも、休眠化の一因です。
掘り起こし営業を成功させるための代表的な手段を3つ紹介します。
DMは、パンフレットやカタログなどを顧客に送付する方法です。情報量が多く、自分宛のDMの開封率が約75%とも言われるほど、効果的な手法です。ただし、デザインや印刷、配送料といったコストがかかる点に注意が必要です。
メールは、簡単に多くの顧客にアプローチできる手法です。既に保有しているメールアドレスを活用して、一斉送信が可能です。さらに、開封率やURLクリック率のデータも収集できるため、改善にもつながります。 ただし、メールはDMと比べて開封率が低いため、タイトルや本文の内容を工夫して、顧客の興味を引くことが大切です。
電話でのアプローチは、直接顧客と対話できるため、現状のニーズや課題をヒアリングしやすい手法です。DMやメールが届かなかった場合にも有効で、担当者不在時でも後任者に繋げる可能性があります。ただし、電話営業は手間やコストがかかるため、高単価案件やリピーター獲得を目指す場合に効果的です。
掘り起こし営業を進める際には、すべての休眠顧客に同じアプローチを行うのではなく、優先順位をつけることが重要です。 例えば、BtoBの場合は企業規模・業界・役職、BtoCの場合は年齢や性別などをもとにターゲットを絞り、最適な手段でアプローチしましょう。このプロセスを通じて、効率的に掘り起こし営業を進めることが可能です。
掘り起こし営業は、新規顧客の獲得に比べてコストを抑えながら行える効果的な営業手法です。DM、メール、電話といった手段を活用しつつ、顧客属性や特性に応じたアプローチを行うことで、休眠顧客を再び活性化させ、売上向上につなげることができます。