休眠顧客とは、過去に接点があったものの何らかの理由でやり取りがなくなり、一定期間以上の接点がない顧客のことです。休眠顧客に対して営業活動を行う「掘り起こし」の重要性が、近年高まっています。この記事では、休眠顧客となる原因や掘り起こし方法について解説します。
休眠顧客とは、過去に自社製品やサービスを購入・利用したことがあるものの現在は取引がない顧客、また、商談などのやり取りをしていたが、現在ではやり取りが行われていない見込み顧客のことです。 いつからやり取りがないと休眠顧客となるのかは企業によって異なりますが、 一般的には、BtoC(対一般消費者)であれば半年〜1年、BtoB(対企業)であれば1年以上が休眠顧客に該当します。
休眠顧客となってしまう原因は、「商品・サービスに対する満足度」や「顧客の状況変化」「商品・サービスの存在自体を忘れている」のいずれかに関係していることがほとんどです。
購入・利用したものに対する満足度が低ければ、リピートにつながりません。今の世の中では、顧客の需要以上に商品やサービスが溢れています。顧客は多くの選択肢の中から、商品やサービスを選べるため、一度不満に感じてしまうと簡単に顧客は離れてしまうのです。競合他社を差別化できるような品質や、接客の向上を図らなければなりません。
顧客自身のライフスタイルやライフステージの変化によって、これまで購入・利用していたものの必要性が低くなれば、休眠顧客となる可能性が高まります。たとえば、在宅勤務になり化粧品をあまり使わなくなった、出産後これまでの服は着なくなったなどが、このケースに該当します。 ニーズや環境変化に対応することは難しいですが、今後は消費者目線を起点とした商品開発などがさらに求められるでしょう。
商品やサービスの満足度は高いけれど、ほかに選択肢がたくさんあったり自分自身が忙しかったりして、購入・利用したことを忘れてしまっていることもあります。 このケースではメール・DM・電話などを使って、定期的に顧客と接点を持っておくことが大切です。必要になったタイミングで再度利用してもらえる可能性が高まり、販売促進につながります。
掘り起こしとは、休眠顧客に対して営業活動を行うことです。休眠顧客の掘り起こしは、新規顧客を獲得するよりもハードルが低く、費用対効果が高いことから重要性が高まっています。 多くの商品・サービスが溢れており、たくさんの選択肢があるいま、消費者たちはすでに競合他社の顧客となっていることがほとんどです。そこから新規顧客を獲得することは、かなりハードルが高いものとなっています。 一方、休眠顧客は自社に興味や関心を抱いた過去を持つ相手です。適切なアプローチをすることで、再度取引してくれる可能性があります。
休眠顧客の掘り起こしには、メール・DM・電話を使ったアプローチが有効です。
メールでの掘り起こし方法としては、ステップメールが効果的です。ステップメールは、購入や資料請求などの特定のアクションを起点に、あらかじめ用意しておいたメールを段階的に配信するマーケティング手法です。メール内容や送るタイミングなどをあらかじめ設定できるため、少ない工数と低コストでできる点がメリットです。一方、メール開封率はあまり高くないため、興味を惹くメールタイトルにするなどの工夫が必要です。
DM(ダイレクトメッセージ)は、個人や法人宛に送るパンフレットなどの印刷物です。メールよりも開封率が高く、手元に残りやすいといった特性があります。またデジタル化が進んでいる分、特別感を持ってもらえるといった効果もあります。反対に、印刷や発送など、コストや手間がかかる点には注意が必要です。
電話でのアプローチも、休眠顧客の掘り起こしに効果的です。直接コミュニケーションを図りながら、現在のニーズや要望を把握できます。またメールや文章では伝えきれない魅力を、アピールできることもメリットです。ただし架電件数が多いと、人手や時間などのリソースも必要になるため、ターゲットの見極めなどを行って計画的に進めるとよいでしょう。
休眠期間が短いほうが、掘り起こせる可能性は高いです。やり取りがしばらくないことに気づいたら、なるべく早めにアプローチするのが基本です。 ただし、休眠顧客になってしまう原因はいくつかあります。また掘り起こしには時間やコストなどがかかるものです。そのため、むやみにアプローチするのではなく、ターゲットを分類して掘り起こしの優先順位を決め、最適な方法でアプローチすることが成功のポイントです。
一度自社に関心を持ってくれた休眠顧客の掘り起こしは、新規顧客を獲得するよりも成功の確率は高いと考えられます。休眠顧客への対策が手つかずの場合は、掘り起こし方法や成功させるポイントを参考にして実行しましょう。