督促は、約束の履行を促すこと

督促（とくそく）とは、「約束した期日までに実行されていない場合に、約束の履行を促すこと」です。主に金銭が支払われない場合に、支払いを促す場面でよく使われます。

督促が発生する場面の例

• 商品やサービスを提供したが買掛金の支払いが遅延している場合

• 銀行が融資をしているが返済が滞っている場合

• 税金が未納になっている場合

税金の督促に関しては法律で規定されており、法律に基づいて支払いが要求されます。しかし税金以外の督促に関しては法的な効力はなく、あくまで支払いを要求する、促すことを意味します。

また督促は金銭のやり取り以外でも、約束や義務のある行為を果たしていない者に対して、履行を促すときにも使えます。たとえばレンタルサービスを利用したけれど期日までに返却していない人に、「返却するように督促する」というような使い方ができます。反対に約束や義務ではない行為に対しては、督促という言葉は使いません。

催促は、物事を早くするよう促すこと

督促と似た言葉で、「催促（さいそく）」があります。督促と催促のいずれも、相手の行動を促すという点は共通しています。しかし督促は主に金銭の支払いを促す場合に行われるのに対し、催促は金銭のやり取り以外での行為や、義務が発生しない行為に対して使われる点が異なります。

たとえば、書類の提出を促す際に「督促する」とは言わず「催促する」と表現するほうが適切です。督促よりも柔らかいニュアンスで使われ、日常生活でも用いられる言葉です。金銭の支払いを求める際にも「催促」が使われることがありますが、督促よりも緊急性や強制力が低い印象を与えます。

一般的に金銭の支払いを求める場面では、最初の段階で柔らかく支払いをお願いをして、次の段階として強い意志を示し支払いを要求するのが通常の流れです。最初に支払をお願いする行為を催促、次の段階で支払を要求する行為を督促として使い分けされています。

督促と催促の違い

督促と催促の違いについて、以下にまとめました。

督促状と催促状について

期日までに支払いが確認できない場合、相手に支払いを求めなければなりません。その際に「督促状」や「催促状」を作成し、相手に通知することで金銭の支払いを促す必要があります。

まずは未払いの支払を促すための「催促状」を作成します。催促状には、「支払い期日が過ぎている、○月○日までに支払ってほしい」という内容を記載します。催促状自体に強制力はなく、未払いである旨を伝えて支払を促すためのものです。

しかし催促状を送ったものの期日までに支払いがされなかった場合は、督促状を送付します。

督促状は最終的な通告として使用します。より強く支払いを強制するために「期日までに支払い確認ができなければ、法的措置に移る」という内容を記載することもあります。

また督促状を内容証明で送ることもあります。内容証明とは、いつ、誰が、どのような内容の文書を誰に送ったかを、郵便局が証明するサービスです。内容証明郵便で送付することで、相手が「督促状を受け取っていない」とは言えず、法的手段に移った際の証拠としても利用できます。

督促と催促よりも強制力があるのは「支払督促」

催促よりも強制力のある督促を行っても支払いがされない場合や、相手から連絡が返ってこない場合などは、「支払督促」の方法をとることも可能です。

支払督促とは、債権者（支払いを要求する側）の申立てに基づき、簡易裁判所の書記官が債務者（支払い義務のある側）に対して金銭の支払いを命じる手続きです。

支払督促は訴訟とは異なり、裁判所に行く必要や証拠を提出する必要がなく、書類審査のみの手続きで完了します。手続きが完了したら裁判所を経由して債務者に支払督促が送付され、相手が意義申立てをしない場合、裁判での判決と同じ法的効力が生じます。それでも支払いがされない場合には、強制執行を申立てることが可能となります。

まとめ

督促と催促は、相手の行動を促すという意味は共通しています。しかし催促のほうは金銭のやりとり以外でも使われる幅が広く、督促のほうが要求の強制力や緊急度が高い意味合いが含まれます。督促と催促の違いを把握して、円滑な手続きができるようにしておきましょう。